わたし文庫

詩やショートストーリーやエッセイなど、ふとしたキッカケでわたしの中に生まれたストーリーを感じたままに綴っています♪

それ以上でも以下でもないキス

何も変えることのないキスに
私たちが成功したらいいな、と思う。

 

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昨日の夜

ちゅーをした。

 

 

 

 相手はボーイフレンド。

 

 

10代20代ならいざ知らず45才のわたしが

ボーイフレンドという言葉を使うのは

どうかと思うが

 

それ以外に彼との関係を

うまくいい表す言葉がみつからないので

やっぱり彼はボーイフレンドなのだ。

 

 

 

ちなみに彼は49才。

 

こちらも世間一般には

ボーイフレンドと呼ばれるのが

似合う年ではない。

 

 

 

 

49才のボーイフレンドとは

年に数回会う。

 

 

昨夜は駅前で一緒に飲んだ。

 

 

 

月の明るい夜だった。

 

 

 

いつも通り

店の前の小道でバイバイしようと思い

「ごちそうさま。それじあ、またね。

おやすみ〜〜〜」と言った。

 

 

いつもは

「あいよー、おやすみ」と片手をあげながら

反対方向に歩き始める彼が

 

その日に限って「おやすみ」と言った後

わたしの方に近づいてきた。

 

 

何かと思ったら

唇を寄せてきたのだ。

 

 

 

一瞬唇がふれただけの

軽い軽いキスだった。

 

 

 

彼が唇を寄せてきた時

私は一瞬どうしようか迷った。

 

 

 

受けるべきか、かわすべきか。

 

 

 

突然だったけど

かわそうと思えばかわせたと思う。

 

 

唇が触れ合う直前

一瞬の間があったからだ。

 

 

唇が触れる前

私の同意を確認するために

彼は顔を近づけるのをいったん止めた。

 

 

 

 

 

彼と付き合うつもりはない。

 

 

 

寝るつもりもない。

 

 

 

彼との関係を変えたいとは思っていないし

彼のために自分の生活を変えるつもりもない。

 

 

 

 

だから

普段の私ならキスはNOなのだ。

 

 

 

私はなんとなくキスしたり

その場限りの関係を持つことを好まない。

 

 

 

そういうことをするのが

いいとか悪いとかの話ではなく

ただ単に私の好みの問題だ。

 

 

 

それを好んでやっているなら

全然いいと思う。

 

 

 

好まないといっても

私とて

今までに一度もしたことがないわけではない。

 

 

 

何回か「その場限り」というやつを

試してみたけど

私の中には虚しさしか残らなかった。

 

 

そして

その虚しさと引き換えにしてもいいほどの快楽は

残念ながら得られなかった。

 

 

 

だから自然とやらなくなっただけで

私自身、高尚な倫理観や信条を

持っているわけではないのだ。

 

 (引き換えにしてもいいほどの快楽を

得られていたら違っていたかもしれない)

 

 

 

 

 

 

今回、なぜ彼とキスしてしまったのか

自分でもわからない。

 

 

 

昨夜は、二度キスをした。

 

二度目のキスも

一度目の軽い軽いキスと

なんら変わらなかった。

 

 

 

 家に帰って寝つくまでの間

今しがた交わしたキスのことが

頭を離れなかった。

 

 

 

なんでしちゃったんだろ??と

思ったりもした。

 

 

 

でも

虚しさはなかった。

 

快楽もなかったけど。

 

 

 

 

次、彼と会うのは

たぶんまた数ヶ月後。

 

 

 

 

その時はお互い何事もなかったように

御飯を食べ、近況を報告しあったりするのだろう。

 

 

 

何も変えることのないキスに

私たちが成功したらいいな、と思う。

 

 

 

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